二子玉川|相続税専門 世田谷相続専門税理士事務所
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CASE STUDIES

生前対策サービスの解決事例

実際にお手伝いしたご家族の事例です(内容は事実にもとづき、個人が特定されない範囲で記載しています)。

※現在、生前対策に関するご相談は、新規の受付を見合わせております。以下は当事務所がお手伝いした事例のご紹介として、ご覧ください。

事例1|「毎年110万円」を正しく10年——計画的な暦年贈与で約1,200万円の節税へ

10年で約1,200万円の節税

ご相談者

80代男性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(土地・建物で約6,000万円)、預貯金約8,000万円、有価証券約3,000万円で、遺産総額は約1億7,000万円の見込み。法定相続人は配偶者と子2人の合計3人です。

ご相談の背景

ご自身の年齢を考え、「元気なうちにできる相続税対策はないか」とご相談にいらっしゃいました。知人から「毎年110万円ずつ渡せば税金がかからない」と聞いたものの、具体的にどのように進めればよいのか分からない、とのことでした。

また、過去に税務署の調査で贈与が否認されたという話も耳にされており、「正しいやり方で進めないと、かえって問題になるのではないか」という不安もお持ちでした。

当事務所の対応

まず、現時点の財産状況を整理し、相続税の試算を行いました。何も対策をしなかった場合の相続税額は、約2,400万円と算出されました。

そのうえで、暦年贈与の計画を立案しました。お子様2人とお孫様2人の合計4人を受贈者とし、毎年1人あたり110万円(基礎控除の範囲内)を贈与する計画です。年間440万円、10年間で4,400万円の財産を移転できます。

贈与の実施にあたっては、税務署に否認されないよう、毎年贈与契約書を作成すること、受贈者本人の口座に振り込むこと、受贈者が自由に使える状態にすることなど、具体的な注意点をお伝えしました。毎年の実行状況は当事務所で確認するフォローも、あわせて整えています。

結果

10年間の暦年贈与により、課税対象の財産が4,400万円減少。相続税の見込み額は約2,400万円から約1,200万円に下がり、約1,200万円の節税を実現する計画となりました。

贈与契約書の作成と管理を毎年当事務所でサポートすることで、税務リスクのない形で財産移転を進めています。

ポイント

暦年贈与は最も基本的な生前対策ですが、毎年贈与契約書を作成し、金額や時期に多少の変化をつけることが大切です。

また、令和6年の税制改正により、相続開始前の贈与の持ち戻し期間が3年から7年に段階的に延長されています。早めに着手するほど効果が大きくなるため、計画的な実施が欠かせません。

事例2|預貯金2,000万円を保険に——非課税枠で約600万円の軽減

相続税 約600万円軽減

ご相談者

70代男性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(約5,000万円)と預貯金約7,000万円。法定相続人は配偶者と子3人の合計4人。生命保険には未加入でした。

ご相談の背景

預貯金が多く、「このままでは相続税が高くなるのではないか」とご心配されていました。不動産の購入や大きな投資には抵抗があり、リスクの少ない方法で対策したいとのご希望でした。

また、相続が発生すると預金口座が凍結されることを聞き、「葬儀費用や当面の生活費をどう確保すればよいか」という点も気にされていました。

当事務所の対応

生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用する方法をご提案しました。法定相続人が4人のため、非課税枠は2,000万円です。預貯金の一部を一時払い終身保険に振り替えることで、課税対象を2,000万円減らすことができます。

具体的には、一時払い終身保険2,000万円に加入いただきました。受取人をお子様3人に均等に指定することで、遺産分割の対象外として迅速にお子様の手元に届くメリットもあわせて確保しています。

配偶者の当面の生活費については、別途預貯金で確保できるよう資金計画も作成しました。保険に振り替える金額を決めるにあたっては、手元に残す現預金とのバランスを優先しています。

結果

預貯金2,000万円を生命保険に転換したことで、非課税枠の適用により約600万円の相続税軽減が見込まれます。

加えて、相続発生時には保険金がお子様に直接支払われるため、遺産分割協議を待たずに資金を受け取れる体制が整いました。口座凍結へのご心配にも、これで備えができています。

ポイント

生命保険の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で計算されます。預貯金のまま相続すると全額が課税対象ですが、生命保険に転換すれば非課税枠の分だけ課税対象が減ります。

一時払い終身保険であれば、健康状態にかかわらず加入できる商品も多く、ご高齢の方でも活用しやすい対策です。なお、生命保険金は受取人固有の財産として遺産分割の対象外になるため、「特定の方に確実に財産を渡したい」という目的にも適しています。

事例3|月10万円の駐車場をアパートに——評価と債務控除で約4,000万円の圧縮

約4,000万円の評価圧縮

ご相談者

70代男性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(約5,000万円)、駐車場として利用中の遊休地(約8,000万円)、預貯金約5,000万円。法定相続人は配偶者と子2人の合計3人です。

ご相談の背景

所有する土地のうち1筆を月極駐車場として利用していましたが、収益は月額10万円程度。「この土地をもっと有効に活用できないか」とのご相談でした。

あわせて相続税の試算を行ったところ、更地の駐車場は自用地として100%の評価となり、相続税の負担が大きいことが判明。「土地の評価を下げる方法があるなら検討したい」とのことでした。

当事務所の対応

遊休地に賃貸アパートを建築するプランをご提案しました。土地の上に賃貸建物を建てると「貸家建付地」として評価され、借地権割合と借家権割合の分だけ土地の評価額が下がります。世田谷区の当該地域では借地権割合60%、借家権割合30%のため、約18%の評価減となります。

さらに、建築資金を金融機関から借り入れることで、借入金が債務控除の対象となり、相続税の課税対象が圧縮されます。

大切なのはここからで、収支シミュレーションを作成し、借入返済を含めても安定した収益が見込めることを確認したうえで実行に移しました。

結果

土地の評価額が約8,000万円から約6,560万円に減少しました(貸家建付地評価による約1,440万円の減額)。加えて、建築費用の借入金約6,000万円が債務控除として相続財産から差し引かれ、合計で約4,000万円の圧縮効果を実現しています。

アパートの家賃収入により、月額約40万円の安定した収益も確保できました。税負担の面でも収益の面でも、生まれ変わった土地です。

ポイント

賃貸アパートの建築は、土地の評価減と借入金の債務控除を組み合わせた効果的な手法です。ただし、建築費や維持管理費、空室リスクを含めたトータルの収支を慎重に検討する必要があります。

「節税ありき」で無理な建築を行うと、空室が続いてローン返済に窮するケースもあります。当事務所では、税務面だけでなく、将来の収支見通しもあわせてシミュレーションを行ったうえでご提案しています。

事例4|自宅を長男に、想いも言葉に——公正証書遺言で争いの芽を摘む

紛争リスクを事前に解消

ご相談者

80代男性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(約7,000万円)、預貯金約4,000万円、有価証券約2,000万円。法定相続人は子3人(長男・次男・長女)。配偶者は既に他界されています。

ご相談の背景

財産の大部分を自宅不動産が占めており、「自分が亡くなった後、子どもたちが自宅の扱いで揉めるのではないか」とご心配されていました。長男は自宅に同居しており住み続けたいと希望していますが、次男と長女は「公平に分けたい」との意向です。

過去に知人の相続で兄弟間の関係が壊れた話を聞き、「自分の家族には同じ思いをさせたくない」という強いお気持ちがありました。

当事務所の対応

まず、各相続人の法定相続分と遺留分を整理しました。子3人の法定相続分は各3分の1、遺留分は各6分の1です。自宅を長男に相続させる場合、次男・長女の遺留分を侵害しない範囲で遺産を配分する必要があります。

検討の結果、自宅不動産は長男に相続させ、預貯金と有価証券を次男・長女に配分する内容で公正証書遺言を作成しました。長男の取得額が多くなる部分については、生命保険の受取人を次男・長女に指定する代償措置も講じています。

遺言書には付言事項として、お父様のお気持ち——長男に自宅を守ってほしいこと、次男・長女にも感謝していること——を記載しました。法的効力はありませんが、遺された方が「なぜこの分け方なのか」を理解するうえで大きな意味を持つ言葉です。

結果

公正証書遺言の作成により、遺産分割の方針が明確になりました。各相続人の遺留分も確保されており、紛争リスクを事前に解消できました。

ご自宅を誰が引き継ぐのか、預貯金と有価証券をどう配分するのかが文書として残り、お客様からは「これで安心して過ごせる」とのお言葉をいただいています。

ポイント

不動産が財産の大部分を占める場合、相続人間で公平な分割が難しくなります。遺言書がないまま相続が発生すると、遺産分割協議で意見が対立し、家庭裁判所での調停に発展するケースも少なくありません。

公正証書遺言は、公証人が作成に関与するため、自筆証書遺言と比べて無効になるリスクが低い点もメリットです。また、付言事項で被相続人の思いを伝えることは、相続人の心理的な納得感を高める効果があります。

事例5|物忘れが始まったお父様の賃貸マンション——家族信託で凍結を防ぐ

認知症に備える体制を構築

ご相談者

50代男性(長男)。ご相談の対象者はお父様(80代・世田谷区在住)。お父様の主な財産は自宅不動産(約5,000万円)、賃貸マンション1棟(約8,000万円)、預貯金約3,000万円。法定相続人は子2人(長男・次男)。配偶者は既に他界されています。

ご相談の背景

お父様に軽度の物忘れの症状が出始めており、「今後認知症が進んだ場合、賃貸マンションの管理や売却ができなくなるのではないか」というご心配でした。成年後見制度も検討されましたが、家庭裁判所の監督下に置かれる煩雑さや、不動産の売却に裁判所の許可が必要になる点に抵抗がありました。

賃貸マンションの管理(入居者対応、修繕手配、家賃管理)はすでに長男がサポートしており、「今の形を維持しながら法的に問題がない状態にしたい」とのご希望でした。

当事務所の対応

家族信託(民事信託)の設定をご提案しました。お父様を委託者兼受益者、長男を受託者とする信託契約を締結する内容です。信託財産には、賃貸マンションと管理用の預貯金を組み入れました。

信託契約書の作成にあたっては、提携の司法書士・弁護士と連携し、信託の目的、受託者の権限範囲、信託終了時の財産の帰属先(残余財産の受取人)などを詳細に取り決めています。

税務面では、信託の設定時点では贈与税が発生しないこと(自益信託のため)、賃料収入の確定申告はお父様名義で継続することなど、税務上の留意点を整理してお伝えしました。

結果

家族信託の設定により、お父様の判断能力が低下した場合でも、長男が受託者として賃貸マンションの管理・売却を継続できる体制が整いました。家庭裁判所の関与なく、柔軟な財産管理が可能です。

お父様がお元気なうちに手続きを完了でき、「これで安心できる」とのお言葉をいただきました。

ポイント

認知症により判断能力が失われると、不動産の売却や賃貸借契約の締結、預金の引き出しなどの法律行為ができなくなります。成年後見制度はその対策として有効ですが、家庭裁判所への報告義務や、不動産処分に対する制約があります。

家族信託は、お元気なうちに設定しておくことで、柔軟かつ迅速な財産管理を可能にする制度です。ただし、信託契約はご本人に判断能力があるうちに締結する必要があるため、早めの検討が重要です。

事例6|自社株2億円の承継——特例事業承継税制で約6,000万円の納税猶予へ

約6,000万円の納税猶予

ご相談者

60代男性(会社代表取締役・世田谷区在住)。自社株(非上場)の評価額は約2億円。その他の個人財産は自宅不動産(約5,000万円)と預貯金約3,000万円。法定相続人は配偶者と子2人の合計3人で、後継者は長男です。

ご相談の背景

「自分に万が一のことがあった場合、長男が自社株を相続すると多額の相続税が発生し、会社の経営に支障が出るのではないか」というご心配でした。自社株の評価額が高く、現預金で納税資金を賄えない見通しだったためです。

事業承継税制という制度があると聞いたものの、要件が複雑で「うちの会社でも使えるのか分からない」とのことで、詳しい説明を求めてご来所されました。

当事務所の対応

特例事業承継税制(法人版)の適用要件を一つずつ確認しました。この制度は、後継者が先代経営者から自社株を相続または贈与で取得した場合に、相続税・贈与税の全額が猶予されるものです。適用には特例承継計画の策定が必要であり、令和8年3月末までの提出期限があります。

お客様の会社は中小企業に該当し、資産管理会社にも該当しないことを確認。長男が後継者要件を満たしていることも確認のうえ、特例承継計画を作成しました。

計画には、事業の承継方針、後継者の経営体制、雇用の維持方針などを記載しています。都道府県知事への提出手続きも当事務所でお手伝いしました。

結果

特例承継計画の提出が完了し、将来の相続時に事業承継税制を適用する準備が整いました。自社株約2億円に係る相続税(概算約6,000万円)が全額納税猶予の対象となる見込みです。

後継者である長男への承継を、税負担なく実現できる道筋ができました。納税資金の不足で会社の経営に支障が出る、という当初のご心配も解消されています。

ポイント

特例事業承継税制は、自社株に係る相続税・贈与税の100%が猶予される強力な制度です。ただし、特例承継計画の提出期限(令和8年3月末)があり、期限を過ぎると一般措置(猶予割合が低い)しか利用できません。

また、適用後も5年間は代表者として経営を継続する要件などがあるため、後継者の意思確認を含めた慎重な検討が必要です。

事例7|退職金と資産の見直しで、自社株の評価を約40%引き下げ

株価を約40%圧縮

ご相談者

70代男性(会社代表取締役・世田谷区在住)。会社は創業40年の中小企業。自社株の評価額は類似業種比準方式で約1億5,000万円。法定相続人は配偶者と子2人の合計3人です。

ご相談の背景

長年の業績の蓄積により、自社株の評価額が高くなっていました。事業承継税制の適用は検討済みでしたが、「制度が将来的に変わるリスクもあるので、株価自体を下げる対策も併用したい」とのご意向でした。

後継者である長男への株式の贈与を段階的に進めたいものの、現状の評価額では贈与税の負担が大きすぎるため、まず株価を引き下げたいとのことでした。

当事務所の対応

自社株の評価方式(類似業種比準方式)の構成要素を分析し、評価額を引き下げる方法を検討しました。類似業種比準方式では、配当・利益・純資産の3要素で株価が決まります。

対策として、第一に、代表者の退職に伴う役員退職金の支給を実施しました。退職金の支給により会社の利益と純資産が圧縮され、株価の引き下げにつながります。退職金額は、過大な支給が税務上否認されないよう、功績倍率法により適正額を算定しました。

第二に、会社の遊休資金で含み損のある不動産を取得しました。帳簿価額と時価の差額が含み損として純資産を引き下げる効果があります。取得した不動産は賃貸用として活用し、安定した収益も確保しました。

結果

役員退職金の支給と不動産取得の組み合わせにより、自社株の評価額は約1億5,000万円から約9,000万円に低下。約40%の株価圧縮を実現しました。

この株価引き下げ後に、長男への段階的な株式贈与を開始しています。

ポイント

自社株の評価引き下げは、退職金の支給、不動産の取得、配当の抑制など複数の手法を組み合わせて行います。ただし、過大な役員退職金は税務上否認されるリスクがあるため、功績倍率法に基づく適正額の算定が不可欠です。

また、株価対策だけを目的とした不合理な取引は、税務当局から否認される可能性があります。事業上の合理性を確保したうえで対策を実行することが重要です。

事例8|家賃480万円/年を止めない——精算課税で賃貸マンションを長男へ

収益物件を早期移転

ご相談者

70代男性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(約5,000万円)、賃貸マンション1棟(約4,000万円・年間家賃収入約480万円)、預貯金約4,000万円。法定相続人は配偶者と子2人の合計3人です。

ご相談の背景

賃貸マンションの家賃収入が年間約480万円あり、「このまま自分の財産として蓄積され続けると、相続財産がどんどん増えてしまう」とご心配されていました。暦年贈与では年間110万円が上限のため、収益物件を丸ごと移転する手段を探していらっしゃいました。

また、将来は長男に賃貸マンションの経営を任せたいとのお考えがあり、「早めに名義を移して経営のノウハウを引き継ぎたい」とのことでした。

当事務所の対応

相続時精算課税制度を利用して、賃貸マンション(評価額約4,000万円)を長男に贈与するプランをご提案しました。相続時精算課税制度は、60歳以上の親から18歳以上の子への贈与について、2,500万円まで非課税で贈与できる制度です。2,500万円を超える部分には、一律20%の贈与税がかかります。

賃貸マンションの相続税評価額は約4,000万円のため、2,500万円を超える1,500万円に対して20%の贈与税(300万円)が発生しますが、この300万円は将来の相続税から控除されます。

最大のメリットは、贈与後の家賃収入(年間約480万円)がすべて長男の収入となり、お父様の相続財産の増加を止められる点です。10年間で約4,800万円の家賃収入が、お父様の相続財産に加算されずに済みます。

結果

相続時精算課税制度の適用により、賃貸マンションを贈与税300万円で長男に移転。贈与後の家賃収入が長男に帰属するようになり、年間約480万円の財産増加を防止できました。

長男は賃貸経営の実務を自分の名義で行えるようになり、スムーズな事業承継にもつながっています。

ポイント

相続時精算課税制度は、贈与時に2,500万円まで非課税ですが、相続時に贈与財産を持ち戻して相続税を計算する「精算」の仕組みです。したがって、単純な節税効果は限定的ですが、収益物件のように「贈与後も価値を生み続ける財産」を移転する場合は、将来の家賃収入が受贈者に移る効果が大きくなります。

なお、令和6年の税制改正により、相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が新設されました。精算課税を選択した後も毎年110万円までは持ち戻しの対象外となるため、制度の使い勝手が向上しています。

事例9|前妻のお子様がいるご家庭——おしどり贈与で妻の住まいを生前に守る

配偶者の居住権を確保

ご相談者

70代男性(世田谷区在住)。婚姻期間25年。主な財産は自宅不動産(約6,000万円)、預貯金約3,000万円。法定相続人は配偶者と前妻との子1人の合計2人です。

ご相談の背景

前妻との間にお子様が1人おり、現在の配偶者との関係は良好ですが、「自分が亡くなった後、前妻の子と遺産分割で揉めて、妻が自宅を失うことがないようにしたい」とのご心配でした。

遺言書の作成も検討していらっしゃいましたが、「できれば生前に自宅の名義を妻に移しておきたい」とのご希望がありました。

当事務所の対応

贈与税の配偶者控除(通称「おしどり贈与」)の活用をご提案しました。婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合、2,000万円まで贈与税が非課税となる制度です。基礎控除110万円とあわせると、最大2,110万円まで無税で贈与できます。

本件では、自宅の土地(相続税評価額約4,500万円)のうち持分の一部を配偶者に贈与する形としました。2,000万円相当の持分を移転し、贈与税は0円です。

不動産取得税と登録免許税は発生しますが、贈与税の節税額と比較すれば少額で済むことを確認したうえで実行しています。

結果

自宅の土地の一部が配偶者名義となり、遺産分割の対象外として配偶者の居住権が確保されました。

この贈与は「特別受益の持ち戻し免除」の意思表示があったものと推定されるため(民法903条4項)、相続時に遺産分割の計算から除外される効果もあります。

ポイント

おしどり贈与は、婚姻期間20年以上の夫婦間でのみ利用できる制度です。相続税の配偶者控除(1億6,000万円)とは別の制度であり、相続税対策としての節税効果は限定的な場合もあります。

しかし、前妻のお子様がいるケースや、遺産分割で配偶者の居住権を確実に守りたいケースでは、生前に名義を移転しておくことの安心感は大きいものです。適用を受けるには贈与税の申告が必要ですので、忘れずに手続きを行う必要があります。

事例10|思い入れの更地を手放さず「組み替える」——評価を約6,500万円圧縮

約6,500万円の評価圧縮

ご相談者

70代女性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(約5,000万円)、世田谷区内の遊休地(約1億2,000万円)、預貯金約2,000万円。法定相続人は子2人です。

ご相談の背景

遊休地は以前お店を営んでいた場所で、閉店後は更地のまま放置されていました。固定資産税だけがかかる状態が続いており、「何とかしたいが、思い入れのある場所なので売却は気が進まない」とのことでした。

一方、相続税の試算を行うと、更地は自用地として路線価の100%で評価されるため、相続税の負担が大きいことが判明。「評価を下げつつ、収入も得られる方法はないか」とご相談されました。

当事務所の対応

不動産の組替え(遊休地を売却し、その資金で収益物件を購入する方法)をご提案しました。遊休地は更地の評価(路線価100%)ですが、賃貸用マンションを購入すれば、土地は貸家建付地評価(約18%減)、建物は固定資産税評価額(時価の約50〜60%)から借家権割合を控除した評価が適用されます。

時価1億2,000万円の遊休地を売却し、同額で都内の中古賃貸マンション(一棟)を購入するシミュレーションを作成しました。購入後の相続税評価額は約5,500万円となり、約6,500万円の評価圧縮が見込まれます。

売却に伴う譲渡所得税の負担も試算し、相続税の圧縮効果と比較して十分にメリットがあることを確認したうえで実行に移しました。

結果

遊休地を売却して中古賃貸マンションを購入した結果、相続税評価額が約1億2,000万円から約5,500万円に低下。約6,500万円の評価圧縮を実現しました。

年間約600万円の家賃収入も確保でき、固定資産税のみがかかっていた遊休地が収益資産に生まれ変わっています。

ポイント

不動産の組替えは、時価と相続税評価額の乖離を活用した対策です。現金や更地はほぼ額面どおりに評価されますが、賃貸用不動産は貸家建付地評価や固定資産税評価額の適用により、相続税評価額が時価を大きく下回ります。

ただし、相続直前の不動産購入は、税務当局から「節税目的の行為」として否認されるリスクがあります。余裕を持った時期に実行し、実際に賃貸経営を行う実態を伴うことが重要です。

事例11|孫4人に6,000万円の教育資金——一括贈与の非課税で約1,800万円減

相続税 約1,800万円減少

ご相談者

80代男性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(約5,000万円)、預貯金約1億2,000万円。法定相続人は子2人。お孫様が4人いらっしゃいます。

ご相談の背景

預貯金が多く相続税の負担が大きい一方、「孫の教育費を援助したい」というお気持ちがありました。都度の学費援助は扶養義務の範囲として非課税ですが、「まとまった金額を一度に渡しておきたい」とのご希望でした。

暦年贈与ではお孫様4人に年間110万円ずつ渡しても年間440万円が限度であり、「もっと効率的に移転できる方法はないか」とのご相談でした。

当事務所の対応

教育資金の一括贈与に係る非課税制度の活用をご提案しました。この制度は、30歳未満の子や孫に対して教育資金を一括で贈与する場合、受贈者1人あたり1,500万円まで贈与税が非課税となるものです。金融機関に専用口座を開設し、教育資金として払い出す仕組みになっています。

お孫様4人に対して、それぞれ1,500万円、合計6,000万円を教育資金として一括贈与する計画を立てました。

金融機関の口座開設手続きや、必要書類の準備もお手伝いしています。

結果

合計6,000万円の教育資金を非課税でお孫様に移転。預貯金が1億2,000万円から6,000万円に減少し、相続税の見込み額が約1,800万円減少しました。

お孫様の教育費のご心配も解消され、お客様から「孫の未来に投資できてうれしい」とのお言葉をいただきました。

ポイント

教育資金の一括贈与の非課税制度は、令和8年3月末までの時限措置です。受贈者が30歳に達した時点で使い残しがあると、その残額に贈与税が課されます。また、贈与者が亡くなった時点での残額は、一定の場合を除き相続税の課税対象となります。

制度の利用にあたっては、教育資金として計画的に使い切れる見通しがあるかどうかを事前に検討することが重要です。なお、通常の扶養義務の範囲内での都度の学費援助はそもそも非課税であるため、この制度を使う必要がない場合もあります。

事例12|敷地内別棟の長男は「同居」か——渡り廊下と生活実態の整備で特例に備える

約1,900万円の軽減見込み

ご相談者

70代男性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(土地の路線価評価額約8,000万円、面積約200㎡)、預貯金約3,000万円。法定相続人は配偶者と子2人の合計3人。長男ご家族が同じ敷地内の別棟に居住しています。

ご相談の背景

将来の相続で小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用したいとお考えでしたが、長男が同じ敷地内の別棟(増築した離れ)に住んでいるため、「同居」として認められるか不安がありました。

「税務署に否認されたら、自宅の土地8,000万円がそのまま課税対象になってしまう」と危機感をお持ちでのご相談です。

当事務所の対応

小規模宅地等の特例の「同居」要件について、過去の裁決事例や通達を調査しました。同一敷地内の別棟居住であっても、生活の実態として「同居」と認められるケースと認められないケースがあり、建物の構造や生活の一体性(食事・光熱費・家計の共有など)が判断のポイントとなります。

調査の結果、現状では生活の一体性が不十分と判断される可能性があると、率直にお伝えしました。

そのうえで、母屋と離れを渡り廊下で接続する建築工事、住民票の世帯合併、光熱費の一本化、食事を共にする頻度の増加など、同居の実態を強化するための具体的な措置をご提案しています。

結果

渡り廊下の設置工事と生活実態の整備を実施。住民票の住所も統一し、同居の事実関係を客観的に証明できる状態を整えました。

将来の相続で特例が適用されれば、土地の評価額8,000万円が1,600万円に減額(80%減)され、約1,900万円の相続税軽減が見込まれます。

ポイント

小規模宅地等の特例における「同居」の判定は、住民票の住所だけでなく、生活の実態が重視されます。同一敷地内の別棟であっても、建物が物理的に接続され、生活が一体であれば同居と認められる可能性があります。逆に、住民票が同じでも生活が完全に分離していれば否認されるリスクがあります。

生前のうちに事実関係を整備しておくことで、将来の相続時に特例を確実に適用できる状態を整えられる——これは生前対策ならではの強みです。

事例13|相続人が1人だけ——孫との養子縁組で約1,200万円の節税

約1,200万円の節税

ご相談者

80代男性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(約6,000万円)、賃貸アパート(約5,000万円)、預貯金約5,000万円、有価証券約2,000万円。法定相続人は子1人(長女)のみで、配偶者は既に他界。長女のお子様(お孫様)が2人います。

ご相談の背景

法定相続人が長女1人のため、基礎控除額は3,600万円と少額です。遺産総額約1億8,000万円に対して、相続税額は約4,000万円と試算されました。「相続人が1人しかいないため、税額が高くなってしまう」とのお悩みでした。

また、長女1人に全財産が集中することで、将来の二次相続(長女の相続)の負担も心配されていました。

当事務所の対応

お孫様1人を養子とする養子縁組をご提案しました。養子縁組により法定相続人が2人になると、基礎控除額が3,600万円から4,200万円に増加(600万円増)します。また、生命保険の非課税枠も500万円から1,000万円に増加します。

さらに重要な効果として、遺産を2人で分割することで各相続人の課税価格が減少し、適用される税率が下がります。この「税率構造の適正化」による効果は、基礎控除の増加以上に大きい場合があります。

養子縁組にあたっては、長女との関係性に配慮し、事前にご家族全員で話し合いの場を設けました。遺産分割の方針(長女とお孫様の取得割合)も事前に検討し、遺言書の作成もあわせて行っています。

結果

養子縁組により法定相続人が2人になり、基礎控除の増加と税率の引き下げ効果により、相続税額が約4,000万円から約2,800万円に減少しました(約1,200万円の節税)。

世代を一つ飛ばしてお孫様に財産を移転する効果もあり、当初ご心配されていた将来の二次相続の負担軽減にもつながっています。

ポイント

相続税法上、養子の数には制限があり、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までしか法定相続人の数に含められません。また、お孫様を養子にした場合、その方の相続税額に2割加算が適用されます。

2割加算を考慮してもなお節税効果がある場合に限り、養子縁組を検討すべきです。当事務所では、養子縁組の税務上の効果と2割加算の影響を精密に試算したうえでご提案しています。

事例14|「生前に売るか、相続後に売るか」——比較試算で納税資金の不安を解消

納税資金を確保

ご相談者

80代女性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(約5,000万円)、世田谷区内の空き地(約6,000万円)、預貯金約1,000万円。法定相続人は子2人です。

ご相談の背景

財産の大部分が不動産で、預貯金が少ないため、「相続が発生したら、子どもたちが相続税を払えるのだろうか」とご心配されていました。相続税の試算では約1,500万円の納税が見込まれますが、預貯金は1,000万円しかありません。

空き地は利用予定がなく、固定資産税だけがかかる状態。「売却しても構わないが、生前に売るのと相続後に売るのとではどちらが得なのか」というご質問でした。

当事務所の対応

生前に売却する場合と、相続後に売却する場合で、税負担の総額を比較するシミュレーションを作成しました。

生前売却の場合は、譲渡所得税がかかりますが、売却代金が預貯金として相続財産に含まれるため、納税資金は十分に確保できます。あわせて、空き地の相続税評価額(路線価ベース)と売却代金(時価)には差があるため、売却により課税対象が増える影響も計算しました。

相続後売却の場合は、空き地を路線価ベースの低い評価で申告できますが、相続人が売却時に譲渡所得税を負担します。取得費加算の特例(相続税の一部を取得費に加算できる制度)を利用すれば、譲渡所得税を軽減できます。

比較の結果、本件では生前に売却して納税資金を確保するほうが、トータルの税負担が少ないことが判明しました。居住用財産ではないため3,000万円特別控除は使えませんが、長期譲渡所得の税率(約20%)で済みます。

結果

空き地を生前に売却し、約5,800万円の売却代金を確保。譲渡所得税を差し引いても十分な納税資金が確保でき、相続人の納税負担のご不安を解消できました。

不動産から現金に転換したことで、お子様2人の間での遺産分割も容易になりました。

ポイント

「不動産は路線価で評価されるから、現金より有利」という考え方は一般的ですが、納税資金が不足する場合は別の判断が必要です。

納税資金が足りなければ、相続後に不動産を急いで売却しなければならず、不利な条件での売却を余儀なくされるケースもあります。生前売却と相続後売却の税負担を比較し、全体として有利な方法を選ぶことが大切です。

事例15|長男は精算課税、次男は暦年——改正後の新ルールで併用プラン

相続税 約1,100万円減の試算

ご相談者

70代男性(世田谷区在住)。主な財産は自宅不動産(約6,000万円)、預貯金約9,000万円、有価証券約3,000万円。法定相続人は配偶者と子2人の合計3人です。

ご相談の背景

遺産総額は約1億8,000万円で、相続税額は約2,500万円と試算されました。「できる限り子どもたちに財産を移転して相続税を減らしたいが、自分の老後の生活資金も確保したい」とのバランスを重視されていました。

令和6年の税制改正で相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新設されたと聞き、「暦年贈与と組み合わせて使えるのか」というご質問でした。

当事務所の対応

令和6年1月以降の贈与について、暦年贈与と相続時精算課税の併用プランをご提案しました。具体的には、長男には相続時精算課税制度を選択し、次男には暦年贈与を継続する形です。

長男に対しては、相続時精算課税の2,500万円の特別控除枠を利用して、まず預貯金2,500万円を一括で贈与。以降は毎年110万円の基礎控除の範囲内で追加贈与を行います。この110万円の基礎控除分は、相続時に持ち戻す必要がないため、純粋な節税効果があります。

次男に対しては、暦年贈与で毎年110万円の基礎控除の範囲内で贈与を継続します。暦年贈与の持ち戻し期間は令和6年以降の贈与について段階的に7年に延長されますが、相続開始前3年超〜7年以内の贈与については100万円の控除があるため、影響は限定的です。

結果

初年度に長男へ2,500万円の精算課税贈与を実施し、以降は長男・次男それぞれに年間110万円ずつ贈与を継続する計画です。ご本人の老後の生活資金は手元に残したまま進められる水準に設定しています。

10年間で合計約4,700万円の財産移転が見込まれ、相続税額は約2,500万円から約1,400万円に減少する試算となりました。

ポイント

令和6年の税制改正により、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除内の贈与は相続時の持ち戻し対象外となるため、暦年贈与の基礎控除と同等の節税効果があります。一方、暦年贈与は持ち戻し期間が7年に延長されたため、相続直前の贈与の効果が薄れました。

両制度の特徴を踏まえ、受贈者ごとに最適な贈与方法を選択することで、効率的な財産移転が可能になります。制度改正の内容は複雑ですので、具体的な計画は税理士にご相談ください。

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