相続税で損しないために!都市計画道路予定地の評価を理解しよう

都市計画地図により都市計画道路の予定の有無を確認したところ、評価対象地の一部が都市計画道路予定地となっていることがあります。都市計画道路予定地は、通常、2階建て以下の木造などの建物しか建築できないなど建物の建築に制限を受けることから、その宅地の評価に当たって一定の評価減が認められています

本記事では都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価を一通りお伝えします。

目次

都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価

都市計画が決定(告示)され、都市計画道路予定地となっている区域内にある宅地は、都市計画の決定から都市計画事業の認可・承認までの期間は、通常、2階建て以下の木造などの建物しか建築できないなど建物の建築に制限を受けることとなり、宅地としての通常の用途に供する場合と比べて利用の制限があると認められます。そのため宅地の価額は、地区区分、容積率、地積割合によって定めた補正率を乗じて計算します。

都市計画道路予定地等の調べ方

都市計画図などにより都市計画道路の予定の有無、用途地域、容積率などを確認します。市区町村の役所で都市計画図を確認できますが、インターネットで閲覧サービスを提供している自治体もあります。たとえば世田谷区では、世田谷区都市計画図のリンク先にあるPDFにより都市計画図を閲覧できます。また電子地図データベースのせたがや i-map - 地図 -では都市計画情報を一覧で確認できます。ただし申告にあたっては役所の窓口で都市計画情報を確認しておくことが望ましいでしょう。

都市計画事業の流れ

都市計画事業の流れの図解

評価対象地の都市計画道路が以下のどの段階にあるのかを市区町村の役場で確認します。

  • ① 都市計画の決定の段階・・・事業の着手時期が未定
  • ② 都市計画事業の認可決定の段階・・・事業の着手が決定
  • ③ 都市計画事業の整備済みの段階・・・都市計画道路の工事が終了

①計画決定の場合や②事業許可の段階でも、買収時期までは土地の利用に制限がありますので、課税時期に買収時期や買収対価額が明らかであるなどの特段の事情がない場合、都市計画道路予定地の取扱を適用できます。一方で、これらの特段の事情がある場合、規定がありません。鑑定評価を行う方法などが考えられますが、管轄の税務署に確認のうえ評価を進めるようにしましょう。

指定容積率と基準容積率

容積率は、敷地面積に対する建築物の延べ面積の割合です。容積率には、都市計画法で用途地域別に定めた①指定容積率と、建築基準法独自の②基準容積率の2種類があります。建物を建築する場合に適用される容積率は、①指定容積率と②基準容積率のうちいずれか小さい方です。

①指定容積率は、都市計画によって定められています(建築基準法52②)。

用途地域指定容積率
第1種・第2種低層住居専用地域5/10、6/10、8/10、10/10、15/10、20/10
第1種・第2種中高層住居専用地域
第1種・第2種住居地域、準住居地域、
準住居地域、近隣商業地域、準工業地域
10/10、15/10、20/10、30/10、40/10、50/10
商業地域20/10、30/10、40/10、50/10、60/10、70/10、80/10、90/10、100/10、110/10、120/10、130/10
工業地域、工業専用地域10/10、15/10、20/10、30/10、40/10
用途地域の指定のない区域50/10、80/10、20/10、30/10、40/10

②基準容積率は、前面道路の幅員が12m未満の場合、次の算式により計算します。前面道路の幅員が12m以上の場合、指定容積率がそのまま容積率となります。

「前面道路幅員(m) × 下表の定数」

前面道路(幅員12m未満)の幅員による容積率の限度
第1種・第2種低層住居専用地域4/10
第1種・第2種中高層住居専用地域
第1種・第2種住居地域、準住居地域
(建築基準法第52条第1項第5号に掲げる建築物を除く)
4/10
(特定行政庁の指定する区域、6/10)
その他の地域6/10
(特定行政庁の指定する区域、4/10または8/10)

定数は、住居系の用途地域の場合4/10、その他(商業系・工業系)の用途地域の場合6/10です。なお前面道路幅員が4m未満の2項道路の場合、幅員を4mとして計算します。

たとえば評価対象地の状況が以下の場合、容積率は160%です。

  • ①指定容積率:200%
  • 用地地域:第1種低層住居地域
  • 前面道路:2項道路の3.6m

②基準容積率=4.0m × 4/10 =160% < ①指定容積率200% ∴160%

評価の種類使用する容積率
容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地⇒ ①指定容積率か②基準容積率のいずれか小さい方
都市計画道路予定地の区域内にある宅地
地積規模の大きな宅地⇒ ①指定容積率

「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地」では、①指定容積率か②基準容積率のいずれか小さい方を評価の指標とします。「都市計画道路予定地の区域内にある宅地」の評価でも同じです。しかし地積規模の大きな宅地の判定では、①指定容積率を用います

財産評価基本通達24-7の評価方法

都市計画道路予定地の区域内(都市計画法第4条第6項に規定する都市計画施設のうちの道路の予定地の区域内をいう。)となる部分を有する宅地の価額は、その宅地のうちの都市計画道路予定地の区域内となる部分が都市計画道路予定地の区域内となる部分でないものとした場合の価額に、次表の地区区分、容積率、地積割合の別に応じて定める補正率を乗じて計算した価額によって評価します。

地積割合ビル街地区、
高度商業地区
繁華街地区、
普通商業・併用住宅地区
普通住宅地区、
中小工場地区、
大工場地区
700%
未満
700%
以上
300%
未満
300%以上
400%未満
400%以上
500%未満
500%
以上
200%
未満
200%以上
300%未満
300%
以上
30%未満0.880.850.970.940.910.880.990.970.94
30%以上
60%未満
0.760.700.940.880.820.760.980.940.88
60%以上0.600.500.900.800.700.600.970.900.80

(注) 地積割合とは、その宅地の総地積に対する都市計画道路予定地の部分の地積の割合をいいます。また、容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画予定地となっている場合、各容積率を加重平均して求められる容積率を適用します。

評通24-7 都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価

具体例

宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となる場合の具体例です。まず単純なケースからです。

宅地の一部が都市計画道路予定地の場合

宅地の一部が都市計画道路予定地の場合の図解

① 地区区分

普通住宅・併用住宅地区

② 容積率の計算

前面道路(幅員12m未満)の幅員による容積率の限度
第1種・第2種低層住居専用地域4/10
第1種・第2種中高層住居専用地域
第1種・第2種住居地域、準住居地域
(建築基準法第52条第1項第5号に掲げる建築物を除く)
4/10
(特定行政庁の指定する区域では6/10)
その他の地域 ← 商業地域はここ6/10
(特定行政庁の指定する区域では4/10または8/10)

(商業地域)

道路幅員10m × 定数6/10 = 基準容積率600% > 指定容積率300%
∴容積率300%

③ 地積割合

都市計画道路予定地100㎡ / 総地積400㎡ = 25%

④ 補正率

地積割合繁華街地区、普通商業・併用住宅地区
300%未満300%以上
400%未満
400%以上
500%未満
500%以上
30%未満0.970.940.910.88
30%以上60%未満0.940.880.820.76
60%以上0.900.800.700.60

補正率は、①から④より0.94です。

⑤ 評価額

路線価100,000円 × 地積400㎡ = 160,000,000円
160,000,000円 × 補正率0.94 = 150,400,000円

土地及び土地の上に存する権利の評価明細書

本事例の評価明細書の記載例は、以下のとおりです。

土地及び土地の上に存する権利の評価明細書の記載例(1)

評価明細書に、都市計画道路予定地の補正率0.94を記載し、評価額150,400,000円を算出。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となる場合

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となる場合の記載例

① 地区区分

普通住宅地区

② 容積率の計算

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となっている場合があります。補正率表の適用に当たり、「容積率」は、各容積率を加重平均して求められる容積率によります。実際の都市計画道路予定地に係る容積率ではなく、宅地全体の容積率によります。

前面道路(幅員12m未満)の幅員による容積率の限度
第1種・第2種低層住居専用地域4/10
第1種・第2種中高層住居専用地域
第1種・第2種住居地域、準住居地域
(建築基準法第52条第1項第5号に掲げる建築物を除く)
4/10
(特定行政庁の指定する区域では6/10)
その他の地域6/10
(特定行政庁の指定する区域では4/10または8/10)

(第1種中高層住居専用地域)

道路幅員6m × 定数 4/10 = 基準容積率240% < 指定容積率300% ∴容積率240%

(第1種低層住居専用地域)

道路幅員6m × 定数4/10 = 基準容積率240% > 指定容積率200% ∴容積率200%

各容積率を加重平均して求められる容積率

(240% × 450㎡ + 200% × 150㎡)÷(450㎡ + 150㎡)= 230%

③ 地積割合

都市計画道路計画線区域100㎡ / 総地積600㎡ = 16.66%

④ 補正率

地積割合普通住宅地区、中小工場地区、大工場地区
200%未満200%以上
300%未満
300%以上
30%未満0.990.970.94
30%以上60%未満0.980.940.88
60%以上0.970.900.80

補正率は、①から③により0.97です。

⑤ 評価額

路線価100,000円 × 地積600㎡ = 60,000,000円
60,000,000円 × 補正率0.97 = 58,200,000円

土地及び土地の上に存する権利の評価明細書

本事例の評価明細書の記載例は、以下のとおりです。

土地及び土地の上に存する権利の評価明細書の記載例(2)

評価明細書に、都市計画道路予定地の補正率0.97を記載し、評価額58,200,000円を算出。

質疑応答事例 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となる宅地の評価|国税庁

留意点

都市計画道路予定地の区域内となる宅地の評価における留意点をお伝えします。

倍率地域にある場合も適用できることがある

評価対象地が倍率地域に所在する場合、「普通住宅地区」内にあるものとして、容積率と地積割合の別に定めた補正率を適用して差し支えありません。ただし都市計画道路予定地であることを考慮して固定資産税額評価額または評価倍率が定められている場合、適用はありません。

市街地農地等であり宅地以外の場合も適用できる

評価対象地が宅地比準方式により評価することとなる市街地農地等の場合も適用があります。このような対象地は、宅地の価額をもとに評価することとなり、またその農地を宅地とした場合には、都市計画道路予定地としての制約が課されるからです。

都市計画事業の事業決定後も適用できる

都市計画事業の事業決定後も適用できるの図解

都市計画予定地は、都市計画事業の認可等がなされると、用地買収が見込まれることや買収請求が可能となります。しかし用地買収までに相当な期間が必要となり、また建築制限などの制約は予定地のときよりも厳しくなります。そのため事業認可等がなされた後でも課税時期においていずれ買い取られることが確実であり、予定対価の額があきらかであるなどの特段の事業がある場合を除き、予定地の取り扱いを適用して差し支えありません。

都市計画道路以外の都市計画施設の予定地も準用できる

都市計画道路以外の都市計画施設の予定地も準用できるの図解

都市計画道路予定地でなくても、都市計画法第11条1項の都市計画施設のうち、「1 交通施設」、「2 公共用地」の予定地となっているものであり、計画決定後に事業認可等がされてないものは、都市計画道路予定地の取り扱いを準用しても差し支えありません。

(都市施設)

第十一条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる施設を定めることができる。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。

  •  道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
  •  公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地

セットバックとの違い

都市計画道路予定地とセットバックの評価減は、異なる規定です。それぞれを混同しないように注意しましょう。都市計画道路予定地は道路沿いに造られることもありますが、道路のまったくないところに造られる場合もあります。一方でセットバックは、4m未満の建築基準法上の道路、いわゆる2項道路沿いに造られます。また都市計画道路予定地の評価は、都市計画道路が宅地の一部にかかっている場合、その宅地の全体が評価減の対象です。一方でセットバックの評価は、セットバック部分のみが評価減の対象となります。

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