開業後3年未満の会社の判定基準と非上場株式の株価評価とは?
取引相場のない株式の非上場株式は、原則として評価会社の規模などに応じて、類似業種比準価額方式・純資産価額方式・類似業種比準価額方式と純資産価額の併用方式・配当還元価額によって評価します。
しかし通常の事業活動を行っている一般的な会社と比べて、資産の保有状況や営業活動の状況が著しく異なる会社があります。これらの会社の株式を一般の評価会社に適用する原則的な評価方式により評価するのは合理的といえません。
財産評価基本通達において、通常の営業とは著しく異なる会社を「特定の評価会社」として6種類の会社に分類し、それらの会社に応じた一般の評価会社とは別の評価方法が定められています。
(特定の評価会社)
- 比準要素数1の会社
- 株式等保有特定会社
- 土地保有特定会社
- 開業後3年未満の会社等(開業後3年未満の会社・比準要素数0の会社)
- 開業前・休業中の会社
- 清算中の会社
本記事では特定の評価会社のなかでも開業後3年未満の会社を取り上げてお伝えします。事業を開業してから3年未満の会社は、原則として純資産価額により評価するとされています。
本記事では以下の流れでお伝えします。
* 開業後3年未満の会社の判定
⇓
* 開業後3年未満の会社に当たる場合の株式評価
では解説していきます。
開業後3年未満の会社とは
開業後3年未満の会社とは、課税時期において開業後3年未満の会社をいいます(開業前または休業中、清算中の会社は除かれます)。
(参照元:国税庁 評価通達189(4) [特定の評価会社の株式])
開業とは評価会社がその目的とする事業活動を開始することにより収益が生じる状況ことをいいます。設立登記後3年未満の会社ではなく、実際の開業後3年未満の会社であることに注意しましょう。
つぎの項目では、評価会社が開業後3年未満の会社と判定された場合の株式の評価方法を確認します。
開業後3年未満の会社の取引相場のない株式は原則、純資産価額方式
| ④開業後3年未満の会社等の株式評価 | ||
|---|---|---|
| 原則 | 選択 | |
| 同族株主等 | 純資産価額方式 ※ =1株当たり純資産価額(相続税評価額) | |
| 同族株主等以外 | 配当還元方式 (1株当たりの純資産額の方が小さい場合は、1株当たり純資産価額) | |
※ 株式取得者とその同族関係者の有する株式の議決権割合が50%以下の場合には80/100の適用あり
(同族株主等)
開業後3年未満の会社の取引相場のない株式は、原則として、純資産価額方式により評価します。
なお株式取得者の属する株主グループの議決権割合が50%以下の場合、「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」から20%減額した価額を評価額とします。たとえば純資産価額が1,000円であれば、800円で評価できます。
(同族株主等以外)
ただし株式の評価方法の判定において、特例的評価方式の配当還元方式により評価できるとされた株主については、配当還元方式により評価できます。
開業後3年未満の会社は、類似業種比準価額で株式を評価することが制限されています。開業後3年未満の会社は、いまだ通常の経済活動を行っている状況とはいえません。また開業後3年未満の時点では、合理的な比準要素の数値を求められません。
ここで通常の経済活動を行っている一般的な会社と同じように、類似業種比準価額方式で株式を評価するのは合理的でありません。そこで開業後3年未満の会社の株式は、一般の評価会社とは異なる方法で、原則として純資産価額方式により評価することとされています。
(参照元:国税庁 財基通189-4 [土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価])
開業後3年未満の会社の株式の評価方法は、比準要素数0の会社と同じです。下記の比準要素数0の会社の記事も参考ください。
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なお評価会社が開業前または休業中、清算中の会社に該当する場合は、開業後3年未満の会社に当たりません。開業前または休業中、清算中の会社についても、その会社に応じた評価方法が定められています。
(参照元:国税庁 財基通189-5 [開業前又は休業中の会社の株式の評価]、国税庁 財基通189-6 [清算中の会社の株式の評価])
つぎの項目では開業後3年未満の会社株式の評価方法を事例により確認していきます。
開業後3年未満の会社の株式評価を計算例により理解
開業後3年未満の会社の株式の評価方法を確認していきましょう。
<前提条件>
- 課税時期:令和2年6月8日
- 開業:令和元年10月1日
- 発行済株式総数 10,000株
- 相続税評価額による純資産価額 :20,000千円
- 帳簿価額による純資産価額:10,000千円
- 株式取得者と同族関係者の議決権割合:60%
- →同族株主のいる会社の同族株主・80/100の適用なし
開業後3年未満の会社に該当するかどうかの評価会社の判定
開業が令和元年10月1日で、課税時期が令和2年6月8日のため、開業後3年未満の会社に当たります。
開業後3年未満の会社に該当する場合の株価評価
開業後3年未満の会社に該当する場合の株式を評価方法は、原則として、純資産価額方式により評価します。
① 相続税評価額による純資産価額 :20,000千円
② 帳簿価額による純資産価額:10,000千円
③ 法人税等相当額 (①ー②)✕37%=3,700千円
④ 1株当たり純資産価額 (①ー③)/10,000株=1,630円
| 【純資産価額方式】 | |
|---|---|
| 資産の相続税評価額 | 負債の相続税評価額 |
| 「含み益×37%」を控除 | |
| 純資産価額 | |
| ↓ ÷ 株式数 | |
| 一株当たり純資産価額 | |
相続税評価額による純資産価額から「含み益✕37%」の金額を控除して評価会社の純資産価額を計算します。含み益は相続税評価額ベースの純資産価額と帳簿価額ベースの純資産価額との差額です。
純資産価額方式は、会社を清算したときにいくらの価値があるのかを算定し株価を評価する方法です。含み益のある会社を売った場合、含み益に対して法人税等が課税されます。その分、清算された後の手取りの収入が減ります。そのため純資産価額から法人税相当額を控除した上で、1株当たり純資産価額を計算します。
なお株式取得者とその同族関係者の保有する議決権割合割合が60%と50%超です。そのため「1株当たりの純資産価額」1,630円から20%の減額をしていません。
課税時期直前に合併があった場合に類似業種比準方式を適用できないことがある
課税時期の直前に評価会社が他の会社を合併したときに、評価会社の営む主たる業種や利益・配当等の会社の実態が大きく変化する場合があります。
合併前後において会社の実態に大きな変化がある場合で、類似業種比準価額の計算のもととなる3つの比準要素の金額を合理的に求められないときには、評価会社に類似業種比準方式を適用できません。
非上場株式を類似業種比準価額方式により評価するには、評価会社の3つの比準要素の金額が適正に把握されなければならないからですね。
なお会社の実態に著しい変化が生じたかどうかは、取引金額、総資産価額、従業員数などを参考にして総合的に判断することになります。
